Interviewed on Mar.2023
文賢チームがコンサルティングに入り、Adobe Expressチームの執筆ルールの作成・運用をサポートしました。
本インタビューでは「文賢」を導入した経緯やカスタム辞書の制作フロー、文賢を使ってみた感想を伺います。
「世界を動かすデジタル体験を」というミッションを掲げ、優れた顧客体験のために企業や個人のお客様を支援しています。
「Creativity for All(すべての人に「つくる力を」)という理念のもとAdobe Creative CloudではPhotoshop, Illustrator, Acrobat Proなど多数のクリエイティブツールを提供しています。
加納さんが担当するAdobe Expressは、デザイン知識がなくても直感的に操作できるオンラインのデザインツール。 チラシやバナー、SNS投稿画像などをかんたんに作成できます。
使った後の効果
複数名での執筆では、記事の品質が揃わなかった。
- Akaki
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アドビ株式会社のAdobe Expressチームに文賢を導入いただき、執筆ルールの作成と運用を私たち文賢チームがサポートしました。
そこで今回は、文賢の導入を決めてくださったアドビ株式会社のSEOスペシャリスト・加納さん、そして、アドビさんのパートナーとして記事の執筆を担当している翻訳者・かおりさんと編集者・澤山さんに、文賢の導入プロセスや実際に使ってみて実感した効果を伺います。
本日はよろしくお願いいたします!
- Kano
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アドビ株式会社の加納です。
SEOスペシャリストとして、Adobe Expressのグロースを担当しています。
Adobe Expressに関わってくれる方々が気持ちよく働ける環境を用意すべく、日々努めています。 - Kaori
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Engageのかおりです。
私は翻訳と通訳に20年ほど携わっており、その内容は字幕や雑誌記事、法律関係、マーケティングなど多岐に渡ります。
アドビさんとのプロジェクトでは、翻訳や文章の編集をお手伝いさせていただいています。 - Sawayama
編集者の澤山です。
普段はSNSマーケティングやコピーライティングを考えています。
アドビさんのプロジェクトでは、コピーライティングや全体のUXを改善するためのアドバイスを行っています。- Akaki
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皆さん、ありがとうございます。
各分野のプロフェッショナルの皆さんと一緒にお仕事させていただいて光栄です。加納さんが担当されている「Adobe Express」は、アドビ製品のなかでも比較的新しいツールなんですよね?
- Kano
そうですね。
アドビは「Creativity for All(すべての人に「つくる力」を)」というビジョンを掲げていて、その理念をもとにさまざまなアプリを開発しています。
プロのクリエイター向けのツールを多く展開している会社なのですが、そこから一転、専門的なスキルがなくてもオンライン上でサクッと画像や動画を編集できるツールとして「Adobe Express」が誕生しました。
- Akaki
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今回のプロジェクトに関わったことをきっかけに、私もAdobe Expressを使用しました。
ワンクリックで画像を切り抜けたり、テンプレートを編集するだけで記事やSNS投稿に使う画像を簡単に作成できたりするのが非常に便利ですね。
無料で使える写真素材がたくさんあるのもありがたいです。 - Kano
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ありがとうございます。
デザインのプロの方も、そうでない方も、ちょっとした画像や動画をスピーディーに作りたいときがあると思うんです。
そんなときの制作の相棒として、Adobe Expressを使ってもらいたいです。日本に進出して約1年のAdobe Expressをさらに成長させるため、僕がSEOの領域を担当しています。
- Akaki
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加納さんがSEOを推進していくなかで「文賢を使いたい」と考えてくださったのは、どのような課題があったからなのでしょうか?
- Kano
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アドビはアメリカの会社なので、もととなるWebページは英語で作られています。
Adobe Expressが日本に進出するにあたり、英語で書かれた大量のWebページをスピード重視で日本語に翻訳していったので、直訳になってしまっているページがありました。もとの英語はフランクで明るい文体なのに、直訳してしまうと難しいカタカナ用語がたくさん並んで、難しい印象を受ける日本語の文章になってしまったんです。
さらに、直訳の不自然で読みにくい日本語は、読者の離脱にもつながってしまいます。そこで、もとの英語の雰囲気を日本語でも再現するために、Webページを書き換えるプロジェクトが始まりました。
書き換えが必要なページが大量にあるので、社外の複数のパートナーさんに依頼する必要があり、そこで2つの課題が生まれたんです。まず、複数の方に執筆を依頼すると、それぞれに自分流の執筆ルールができてしまって、表記がバラけてしまったり、記事の品質が揃わなかったりする課題が生まれました。
もう一つは、たとえば「”エフェクト”は”効果”と訳すのか、そのまま”エフェクト”と書いていいのか」といった迷いがあり、リライトに時間がかかるという課題です。
言い換えのルールを決めることで時短できるものと、文脈に合わせて表現の変更を検討しないといけないものをパパっと判別できるツールがあるといいなと思っていたときに「文賢」を思い出しました。
実は前職でも文賢を使っていたので、文賢を使えばできるのでは?と思い、ウェブライダーさんに導入を相談させてもらいました。
- Akaki
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ありがとうございます。
文賢には自社の執筆ルールを登録してチェックできる「カスタム辞書機能」があります。
Adobe Expressの表記ルールをカスタム辞書機能に登録し、文章を執筆する人たちに周知しましょうというご提案をさせていただきました。
多様な視点を取り入れたチームを編成。
- Akaki
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Adobe Expressは立ち上げたばかりの事業で、日本語の表記ガイドラインがなかったため、執筆方針を作るところからスタートしました。
具体的なフローとしては、まず、執筆方針を固めるために辞書制作のチームを結成しました。
そして、チームメンバーで表記統一すべき用語や言い換えが必要な表現を洗い出し、その内容を整理するためのミーティングを実施。
ミーティングで決まった内容を文賢に登録しました。文賢のカスタム辞書は「一度作って終わり」ではなく、運用していく意識が重要です。
「用語や表現の洗い出し→ミーティング→文賢に登録」のサイクルを繰り返していくことで、文賢辞書の精度が高まっていきます。
- Akaki
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辞書制作に協力してくれるチームメンバーとして、加納さんがかおりさんや澤山さんをアサインしてくれましたよね。
チームを編成するときに意識したことはありますか? - Kano
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「多様な視点を辞書に取り入れたい」と思い、役割が被らないようにチームを編成しました。
たとえば、僕はアドビの人間として「トンマナはこれです」「ここは最低限抑えておきたいルールです」といった内容を伝える、Adobe Expressのブランドを守る役割。
かおりさんは翻訳のプロフェッショナルで、翻訳のよくある間違いや表現を知り尽くしているので、翻訳者としての観点から用語や表現をピックアップしてもらう。
澤山さんはヤフトピを何回も飾るような記事を作ってきた経験があり、本やWebメディアなどのさまざまな媒体での編集の知見をもっているので、その知見を活かして、表記の統一ルールをアドバイスいただく。
赤木さんをはじめとした文賢チームには、文賢のシステムを活用するうえでのアドバイスをお願いする。
このように、それぞれへの期待値を明確にしました。
- Akaki
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立場や性別、年代がバラバラなメンバーが集まったことで、意見が偏らず、幅広い視点で辞書制作に取り組めたと思います。
表記を統一すべき用語や、言い換えが必要な表現は、かおりさんが積極的に集めてくださいましたよね。
- Kaori
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今回の辞書制作プロジェクトでとてもありがたいと思ったのは、外部パートナーであるいち翻訳者、いちライターの意見も聞いたうえで、辞書を作ってくれたことです。
こういうプロジェクトってめったにないと思います。外部パートナーとしてお仕事していると、「こういう言葉を使いたいな」「この表現は使わないほうがよいのではないか?」と思うことがあっても、それが執筆方針として反映されることはあまり多くないんです。
しかし、今回は辞書制作の初期段階から関わらせていただいたことが嬉しくて、気になった言葉や表現はどんどんチームに伝えるようにしました。
たとえば、「Create ●●● in minutes」を「●●●をわずか数分で作成できます」と訳しているページを発見しました。
たしかに直訳するとそのような訳になるのですが、「わずか数分で本当に作成できるの?」という疑問が生まれました。「わずか数分」と聞いて思い浮かべるのは、3~4分、長くても5分程度ではないでしょうか。
実際に数分で作成できる人が多くないのであれば、表現を変更したほうがよいと考えました。 - Akaki
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そうでしたよね。
ご意見をいただいたときに、プロの翻訳者さんならではの視点だなと感じました。 - Kaori
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もし実際にAdobe Expressを使ったときに数分で作成できなかったら、残念に感じたり、やっぱり私にはレベルが高いツールだ!と思ってしまったりする可能性があり、もったいないですよね。
私は字幕の翻訳の仕事をしていたときに「裏どり(事実確認)」の大切さを叩き込まれていたので、この視点に気づくことができました。
- Akaki
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文賢に登録したい用語や表現をある程度洗い出したあとで、その内容を整理するためのミーティングを開催しましたね。
表記統一には正解・不正解があるわけではないので、どちらの表記に統一するかを迷ってしまうことも多くて・・・そんなときに、澤山さんが編集者の視点でアドバイスしてくれました。
- Sawayama
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これまで関わってきたさまざまなメディアでも、表記統一のルールを決めることをやってきました。
基本は『記者ハンドブック』を参照することが多いのですが、『記者ハンドブック』は新聞の用字用語集のため、すべて準拠してしまうと硬すぎる表現になってしまうこともあります。
「漢字が多すぎると硬い印象になるから、この表現はひらがなで表記しよう」と、自分たちの対象読者に合わせて表記を調整することが大切です。結局「読者がどう感じるか」がすべてなので、読者のことを一番に考えてルールを作っています。
言葉選びのセンスも磨かれるツール。
- Akaki
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実際に文賢を使ってみてどうでしたか?
- Kaori
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文賢がなかったときは「同じ表現が前にも出てきたけど、どう訳していたっけ?」と、毎回過去に書いた記事をさかのぼって探していました。
文賢を使うようになってからは、頻出のフレーズを「文章表現機能」に登録しているので、すぐに表現を探すことができるようになって助かっています。
- Sawayama
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僕は、文賢は心理的なフォロー効果が大きいと思いました。
自分のいたらないところを指摘してくれるし、その指摘が嫌味っぽくないんですよね。
「こう修正してください」という一方的な指摘ではなく、「こうしたほうがもっとよくなるかもしれませんよ」とやさしく伝えてくれます。執筆の作業自体はひとりでやることが多いけれど、文賢を使うと孤独を感じません。
優秀なアシスタントをつけてもらった気分です。 -
Kano -
僕はビジネスメールをチェックしたり、外部の方に執筆いただいた記事をチェックしたりするときに文賢を使っています。
文賢は文章の改善点を指摘して変更案を出してくれますが、その変更案を勝手に反映しないので、「本当にこの変更案が適切なのか?」を自分の頭で考えるきっかけをくれるのがとてもよいですね。
考える間もないままに変更案が反映されてしまったら、自分の文章力はまったく向上しないと思います。目的や読者によって、適切な言葉は異なります。
たとえば、Adobe Expressの辞書ではクリエイティブ初心者にもわかりやすい表現を心がけていて、「コラージュ」という言葉を「画像を組み合わせる」などの表現に言い換えることを推奨しています。
しかし、その記事が「画像 コラージュ」というキーワードで上位表示を目指しているのであれば、「コラージュ」という言葉を使うほうが適切です。Adobe Expressに関わる文章を執筆する人には、目的や読者を考えて言葉を選んでほしいので、自分の頭で考えるきっかけをくれる文賢はぴったりなツールだと思っています。
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Kano -
社内で使い始めた人が「文賢とてもいいね!」と評価してくれて、それがまわりまわって上司に伝わり、僕が上司から褒められるというテンションの上がる出来事がありました。
ヨーロッパのチームから「フランス語版の文賢がほしい!」という声も届いていますよ。 -
Akaki -
とても嬉しい感想をありがとうございます!
今回、土台となる辞書を作成できたので、今後はさらに辞書を拡張し、Adobe Expressのマーケティングに関わるさまざまな人たちに文賢を使っていただけるよう、使い方をサポートしていきます。事業のフェーズや掲載媒体に合わせて、カスタム辞書をアップデートしていきたいと思っていますので、引き続きよろしくお願いいたします。
本日はお忙しいなかお時間をいただき、ありがとうございました! -
Kano
Kaori
Sawayama -
ありがとうございました!
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